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先輩たちの声
大学院博士課程前期1セメスターを終えて

辻野 安威香【平成21年度入学】

平成21年度入学

私は広島大学教育学部英語文化系コースを卒業後、平成21年度にこの教育学研究科に入学しました。現在、日本人英語学習者の第2言語ライティング指導法についての研究をしています。大学院に入って約4ヶ月が経ち、授業の予習・復習と平行して自分の研究を進めるという忙しい毎日ですが、とても‘充実’した大学院生活を送っています。
私が大学院進学を志望したのは、現場に出て実際に教員として働くには勉強の絶対量が足りない、英語教育や英語そのものについてもっと勉強したいと思ったからでした。もちろん、学部生時代にも英語教育や言語学、文学などについて学ぶことはできますが、大学院になると授業の内容が高度かつ専門的になり、様々な研究背景を持った先生方からより多くのことを学ぶことができます。また、学部の時の大人数のクラスではできなかったことが、大学院の少人数でのディスカッション形式の授業では可能になることも大学院の魅力の一つです。議論の中で他者の意見を批判的に分析したり、自分の意見を述べたりすることを通して、物事を多角的に捉える、聴衆にわかりやすく話す/書くなど、研究者としてだけではなく、将来どんな職に就いても必要とされる力をつけることができます。
大学院の生活は勉強や研究に没頭できる貴重な2年間ですが、大学卒業後に教員として働くことを目指している人にとって、この2年間の机上の研究生活は実世界とは関係のない無駄なもののように思えるかもしれません。しかし、実際に研究を始めてみると、自分の研究テーマ以外のこと、実際に行われている指導法や第二言語習得の理論、学習者の特質、教材、英語そのものなど、多くのことを学び深く考えている自分に気づきます。指導とは、理論と実践の両方をバランスよく考慮することによって最大限の効果を生むものです。実際に現場に出て教える前にそのような理論についてしっかり学ぶことによって、より効果的な指導を可能にするだけではなく、教員になった時に直面する数々の問題にも冷静かつ的確に対処していくことができるのではないかと思います。
教員には、より良い授業のために日々進歩していこうとする姿勢が大切です。そのためにも、常に研究者であるということを忘れずに、今ここにある問題に気づき、その問題解決のために日々努力するような教員になることを目標に、残り1年半の短い大学院生活を大切に使っていきたいと思っています。(2009年8月執筆)