北村 真理子【平成24年度入学】
私はこれまで7年間、中学校英語教員として勤務してきました。今回、2年間の大学院修学休業制度を利用して広島大学大学院博士課程前期に入学し、学生として日々勉強に励んでいるところです。
大学院入学を決めた理由は、2つに大約されます。
一つ目は、悔いのない人生を送りたいという思いからです。「一度きりの人生」において、自分が挑戦したいと思ったことには可能な限り挑戦するというのが私のモットーです。家族や職場に迷惑をかけていることは重々承知していますが、周囲は私の思いをしっかりと汲み、応援してくださっています。これには大変感謝しています。
二つ目は、成長し続ける教師でありたいという思いからです。これまで経験を積んできた中で、生徒との関わり方やクラス経営、英語の教授法等、少しずつ自分のスタイルが確立できてきた部分も確かにあります。その一方で、「英語力」「理論に基づいた確かな教授力」という視点で自分を振り返ってみると、まだまだ不十分だということに気付きました。自己啓発的な研修に積極的に参加されている先生方が多数いらっしゃる中で、何を甘えているのだと言われるかもしれませんが、私はなかなか仕事と自分の勉強を両立させることができませんでした。「自分を変えるために、どう動けばいいのか」と悩みぬいた末に大学院入学に行きつきました。
大学院に行くことを生徒に伝えた際には、大変驚かれました。「先生、また勉強するの?」と、勉強が苦手な生徒は特に、私の気持ちが分からなかったようです。しかし、「みんなに英語の力をもっともっとつけられる先生になるために勉強をしに行くよ」という趣旨を伝えると、生徒たちもまた、応援するメッセージをたくさんくれました。「大人になっても成長しようとする姿勢」は、生徒の刺激にもなると思います。生徒の成長をサポートするには、教師の成長もまた必要なものだと考えます。
大学院生活において私が自分に課している課題は、大きく3つあります。1つ目は、学習・研究にしっかり時間を費やし、英語教師としてレベルアップを図ることです。2つ目は、これまでなかなか挑戦することが出来なかったボランティア活動や英語能力検定試験受験に取り組むことです。そして3つ目は、上記の活動に取り組む中で、自分をゆっくりと見つめる時間をとり、人間として成長することです。自由だからこそ、自分を高めるための活動に積極的に取り組んでいきたいと思います。遠回りかもしれませんが、自分の人生が必ず豊かになるものと信じています。
実際、これまで2か月間を過ごしてみて、現職の教員という立場からいくつかの利点も出てきました。まずは、生徒を思い浮かべながら授業を受けることができるという点です。現場を知っていることの最大の強みだと思います。授業でのディスカッションでは、これまでの経験を通してコメントできることもあり、ディスカッションが深まることもありました。また、この学部は教師志望の生徒が多いため、現場での例を交えながら同じ研究室の仲間にアドバイスができることもあります。彼らを見ていると、初心を振り返ることもでき、私自身いい刺激をもらっています。課題や研究が思い通りに進まず、自分の反省すべき点が浮き彫りになることで落ち込むこともありますが、同時に自分の理想像もはっきりと見えてくるようになりました。
現場にいては、絶対に出会うことがなかった教授・同じ研究室の仲間・他学部の友人との素晴らしい出逢いも大きな魅力です。特に、教授陣は全国でも名高い教育のスペシャリストばかりで、毎日の授業が講演会のようで多くの学びがあります。また、広島大学は資料が豊富で、勉強や研究のしやすい環境でもあります。
私の研究テーマは、ライティングの指導についてです。現場で生徒と関わり合う中で、私がなんとかしたいと思った課題に取り組んでいます。2年後はまた現場に戻り、ここで学んだことや経験したことを生かしていくつもりです。経済的な負担は確かに否めませんが、それ以上にたくさんのことを得ることができる2年間になると感じています。